Mark Levinson テクノロジー解説

ハイエンド・オーディオという新しいジャンルを確立した米国を代表するブランド「マークレビンソン」。その歴史ある設計思想は、現在も脈々と受け継がれ、常にエポックメイキングな製品を産み出し、世界中のオーディオファンからリファレンスシステムとして高い評価を受け続けています。

[2] アンプ関連

デュアルモノラル構成:Dual Monaural Construction

マークレビンソンの創業以来のこだわりの一つが、アンプのモノラル設計。リファレンスアンプと呼ばれるトップモデルとして、無限大のセパレーションを誇るモノラルアンプを常にラインナップに加えてきました。その優れた特徴を継承し、アンプをステレオ化したのがデュアルモノラル構成です。2つの独立したモノラル回路を一つの筺体に納めることでステレオ化し、セパレーションの向上と操作性とを両立させています。プリアンプ、パワーアンプを問わず、また、デジタルプロセッサーのアナログ部にも、このデュアルモノラル構成が採用されています。

フルバランス・デザイン:Fully Balanced Design

マークレビンソンのアンプテクノロジーの独創性を最も端的に示すのが、プリアンプのフルバランス設計です。本来、機器間の信号伝達時のノイズ対策として用いられていたバランス伝送をアンプ回路内のノイズ除去にまで応用。入出力部のみをバランス化した通常のアンプ構造と異なり、アンバランス信号までも入力直後にバランス化し、バランスのまま増幅し出力することで、入出力間でDCから100kHzまでの広い帯域において60dB以上の同相信号除去能力を誇っています。パワーアンプにおいてこのフルバランス化を実現したのが、No33LとNo33HLです。また、CDトランスポートのデジタル部からデジタルプロセッサーのアナログ部まで、マークレビンソンではすべてバランス設計が採用されており、これらのシステムを組み合わせることですべてのコモンモード・ノイズがスピーカー接続時にキャンセルされるため、極めてノイズの少ないピュアーな音楽再生が可能となります。

レジスター・ラダー・ボリューム

プリアンプにおいて、マークレビンソンは常にボリュームの精度と操作フィーリングにこだわりを持ち続け、常に最高のパーツを用いてきました。しかし、プリアンプのフルバランス化に際し、その要となるのはボリューム回路のマッチング精度です。従来の機械式ボリュームでは、0.5dB以上の精度を得ることは不可能でした。ラダーボリュームはデュアル12ビットマルチプレイングD/Aコンバーターを音量調整素子として用い、内蔵された超精密抵抗群による4000 を越える抵抗値の組み合わせを活用して、0.1dBステップ、600段階の音量調整を、誤差精度0.01dBという驚異的な精度で実現しています。また、そのきめ細かな調整と操作性とを両立させるために、独自のバリアブル・レゾリューション調整機構を開発。ゆっくりと操作すれば最高の解像度による微調整が行え、速いボリューム操作では素早い音量調整が行えます。

バリアブル・アダプティブ・バイアス:Variable Adaptive Bias

トランジスタアンプでは、半導体特有の歪み(スイッチング歪み)を避けるためにパワートランジスタに特定のバイアス電流を付加します。このバイアス値を定格出力内において歪みの影響を受けない値に設定したものをA級アンプとよび、それに満たない値のものをAB級アンプとよびます。しかしこのA級アンプであっても、大型スピーカーを大出力ドライブする時などの低負荷駆動時には、ゼロバイアスまたはリバースバイアスとなり、動的な歪みを避けることはできませんでした。マークレビンソンのすべてのパワーアンプに採用されているアクティブ・バイアス回路は、信号の入出力レベルに反応して瞬時にバイアスを自動調整。いかなる負荷、出力時においても常に最適なバイアス値を保ちます。しかも、シンプルな回路ながら確実に、しかも連続的な調整が行えるため、アクティブかつ急激な変動にリニアに追従し、音楽のダイナミズムを余さず引き出します。

セルフジェネレーション電源

オーディオアンプは見方を変えれば、コンセントを通じて送り込まれる商用電源を内部に取り込み、入力される音楽信号の波形に比例して電力を取り出す変電所です。当然そのエネルギー源となる電源がクリーンでなければ、出力される信号も汚れてしまいます。現在、家庭用電源はマイコンを装備したさまざまな家電機器やデジタル機器などの影響で多くの汚れや歪みを含んでおり、フィルターや整流回路だけでこれらすべてを取り除くことはできません。セルフジェネレーション電源は、この家庭用電源から一旦60Hzの完璧な正弦波電源を作り出した上で、これを整流し直流電流を取り出します。この正弦波電源の精製過程において、含まれていたノイズや歪み成分が除去されこれまでにないクリーンな電源を得ることができます。No33LやNo33HLでは、このクリーンな電源を増幅率が大きく最もデリケートなボルテージゲインステージに供給しています。